第一章 幼少時代

私は生涯一つのことだけを

考えて生きてきました。

戦争と争いがなく世界中の人たちが

愛を分かち合う世界、一言で言えば、

平和な世界をつくることが

私の幼い頃からの夢でした。

 

 山で跳び回っているうちに、そのまま眠ってしまったこともよくあります。そんな時は、父が森の中まで私を捜しに来ました。父の声が遠くから聞こえてくると、自然と笑みがこぼれ、心が弾みました。寝ているふりをして父に背負われていった気分、何の心配もなく心がすっと安心できる気分、それこそがまさしく平和でした。(15ページ。要約)

 十歳の時でした。大みそかの日になって、村じゅう餅を作るのに大忙しだったのに、暮らし向きが困難で食べる物にも事欠く村民がいました。私はその人たちの顔が目に焼き付いて離れず、一日中、家の中をぐるぐる回ってどうしようかと悩んだあげく、米一斗(約十八リットル)を担いで家を飛び出しました。(中略)米袋を肩に担いだまま、つらさも忘れて、勾配が険しい崖道を二十里(約八キロメートル)も跳ねるように駆けていきました。おなかを空かした人たちを腹いっぱい食べさせることができると思うと、気分が良くて、胸がわくわくしました。(22〜23ページ)